(元筑波大学附属小学校算数教育研究部主任、元全国算数授業研究会会長、元日本数学教育学会理事)
十進位取り記数法では、0~9までの10種類の数字を使うとどんなに大きな数でもどんなに小さな数でも表すことができます。
ただし、その数字に数の概念が伴っていなければただの「記号」の羅列にすぎません。
数の概念は、幼児期に手を使って具体的なモノを一対一対応させる操作を通して形成され始めます。
そして、「具体物⇒半具体物(おはじき、ブロック、●等)⇒数字」と抽象化する過程を体験することで、数字から数を想起できる状態ができあがります。
ところが、この抽象化の体験が十分でないと、算数の学びの中でいろいろな躓きが現れます。
例えば、「繰り上がりのあるたし算」や「繰り下がりのあるひき算」ができない子どもです。
和が10までのたし算や繰り下がりのないひき算の場合には、指を半具体物代わりに使うことで計算できますが、和が10を超える「繰り上がりのあるたし算」や10を超える数から引く「繰り下がりのあるひき算」には対応できません。
彼らは式に表された数字から数がイメージできないのです。
そんな子どもにとって、この「クリア数図カード」は式と具体物をつなぐ画期的な半具体物です。
カードを並べたり重ねたりする操作を通して、数を●の配列として体感的に捉えることができるようになり、「繰り上がりのあるたし算」も「繰り下がりのあるひき算」も計算できるようになります。
十進位取り記数法に基づいた数のたし算・ひき算は、どんなに桁数が増えても計算処理の仕組みは1年生で学ぶたし算・ひき算と同じです。
だから、1年生の段階から「クリア数図カード」を持たせて、計算に対する理解を確実なものにすることにはとても意味があります。
特に計算が苦手な子どもほど積極的に操作させればその効果は絶大です。
算数で悩んでいる「あの子」を「クリア数図カード」で笑顔にしてあげましょう。